世界中で愛される飲み物の一つ「紅茶」。その豊かな風味と香りは、栽培から製造に至るまでの繊細なプロセスによって生み出されています。本記事では、紅茶がどのようにして作られるのか、製造方法について詳しく紹介していきます。紅茶の奥深い世界を一緒に探ってみましょう。
紅茶、緑茶、烏龍茶の原料はすべて同じ
紅茶、緑茶、烏龍茶は、製造方法が異なるだけで同じ茶樹から作られています。
茶葉を摘んですぐに熱を加えて発酵(=酸化酵素によるカテキン類の酸化)を止めるのが緑茶、ある程度発酵させるのが烏龍茶、完全に発酵させるのが紅茶になります。
紅茶の製造方法
紅茶の製造方法には、伝統的なオーソドックス製法と、近代的なアンオーソドックス製法であるCTC製法の2つがあります。
オーソドックス製法(伝統的な製法)
紅茶の約40%がオーソドックス製法で生産されています。
中国、トルコ、スリランカ、インドネシア、ベトナムなどの国で多く採用されています。
① 萎凋(いちょう)
風通しの良いところに生葉を広げるか、人工的に空気を送り込んで萎(しお)れさせます。
② 揉捻(じゅうねん)
萎れて柔らかくなった茶葉を揉んで葉の組織を壊します。
③ 玉解き・篩分け
揉んで塊になった茶葉をほぐし、ふるい分けます。
④ 酸化
温度20〜25℃、湿度100%近い条件において酸化を進めます。
⑤ 乾燥
熱風により茶葉の酸化酵素の働きを止めます。
⑥ 仕上げ
できあがった紅茶をふるい分け、茎や粉を除き、サイズでグレード分けを行います。
CTC製法
紅茶の約60%がCTC製法で生産されています。インド、ケニア、バングラデシュ、ウガンダなどの国で多く採用されています。
「CTC機」という、Crush(壊す)Tear(引き裂く)Curl(丸める)を同時に行う機械を用いた製法です。CTC機は2本のステンレス製ローラーで構成されており、圧搾・回転・捻りが加わることで1mm程度の大きさに引き裂かれる仕組みです。玉解き・篩分けを行う必要がなく、オーソドックス法に比べて短時間で効率的に紅茶を製造することができます。
紅茶は上記のステップで十分に酸化させることで、深い茶色や赤褐色の液体を作り出します。
次に紅茶をいただく際は、緑茶や烏龍茶との違いを感じながら楽しんでみてはいかがでしょうか?